この記事を読むと
- バレーボールにおける攻撃の特徴について理解できる
- コンビネーション攻撃の考え方について理解できる
などの効果が期待できます。
「バレーの試合中にブロックばかりに捕まって攻撃が中々決まらない」と悩んでいませんか?
学生の頃の私はセッター側の立場でしたが、「どうしたらブロックをかわせるのか?」などこの悩みを常に持ち続けていました。
近年のバレーボール界ではどのようにしてにブロックの枚数を減らし、スパイクを打ち込むかという点において著しい進化を遂げています。
新たな攻撃の導入は、相手の守備を困惑させスパイクの決定率を高めることに繋がります。
その上で、攻撃を組み立てる際に大切なのが”テンポ“と”コンビネーション“になります。
この考え方を理解していれば様々な攻撃を展開していけますので、最後まで読んでみてください。
テンポとは?
バレーボールテンポとは、セッターのトスアップからアタッカーの選手がスパイクを打つまでの時間のことを指します。
テンポはアタッカーが助走に入るタイミングの違いにより分類され、3種類あります。
- ファーストテンポ
- セカンドテンポ
- サードテンポ
ファーストテンポが最も速く、セカンドテンポ、サードテンポの順で遅くなっていきます。
ファーストテンポ
ファーストテンポは、アタッカーがセッターのトスアップよりも前に助走を始める攻撃になります
主にクイック攻撃がこのファーストテンポの攻撃に該当します。
利点
- ファーストテンポの特徴としては、攻撃の速さがあるため相手に攻撃を読まれにくかったりブロックの完成を遅らせることができます
- 相手の守備フォーメーションが完成する前にスパイクを打ち込めるため、効果的なスパイクを打つことができます
欠点
- セッターのトスの精度に依存する割合が多く、セッターの技術アップが必要となります
- 事前にセッターとアタッカーでの確認を行なっていないと、攻撃ができずチャンスボールの返球となってしまう
また、漫画”ハイキュー”を読んだことがある人はご存知かもしれませんが”マイナステンポ”と呼ばれる攻撃も存在します。
マイナステンポもファーストテンポの一種で、セッターのトスアップの瞬間には助走が完了している状態の攻撃となります。
相手のブロックもマークすることが難しく、スパイカーがしっかり打つことができればほぼ効果的なスパイクとなるでしょう。
ただし、セッターのトスアップ技術に依存する攻撃であるためかなり難易度が高く、実際の試合では使われていることは少ないです。
ファーストテンポ
マイナステンポ
セカンドテンポ
セカンドテンポは、セッターのトスアップと同時に助走を開始する攻撃になります。
中学生や高校生が取り入れている平行トスはセカンドテンポに該当する場合が多いです。
利点
- トスのスピードが上がるため、相手のブロックの完成が遅れる場合が多い
- スパイカーに安定した軌道でのトスが可能
欠点
- セッターのトスの精度に多少依存してしまう
- スパイカーの打点が下がりやすい
サイドからの攻撃の主流はセカンドテンポでの攻撃になっています。
セカンドテンポ
サードテンポ
サードテンポは、セッターのトスアップを確認してから助走を開始する攻撃になります。
サードテンポ=オープン攻撃と思っていただければイメージしやすいかと思います。
この攻撃が使われるタイミングとしては、レシーブが乱れて二段トスでの攻撃となる場合やアタッカーの選手が助走を取れていない時などスパイクを打つまでに時間を作る場合に使われることが多いです。
利点
- 相手のブロックの枚数を確認できる
- 十分な助走を取り、自分のタイミングでスパイクを打つことができる
欠点
- 相手のブロックが完成している状態でスパイクを打つ必要がある
- 相手の守備が整っているため、コントロール力またはパワーがないと拾われることが多い
- シンプルな攻撃である分リスクも高くなります
高さやパワーに秀でている選手がいる場合は取り入れてみても面白いですね。
サードテンポ
コンビネーション
コンビネーションとは、複数のアタッカーを絡めて展開する攻撃になります。
相手のブロッカーを引き付ける”囮”の選手と、実際に”スパイクを決めるアタッカー”がいてコンビネーションが成り立ちます。
囮の選手とは、名前の通り相手のブロッカーや守備の選手を翻弄する役割を持ち、どれだけ自分が打つと相手に思わせるか次第でスパイクの決定率が大きく変わります。
コンビネーション攻撃の大切なポイントは、自軍の攻撃する選手(スパイカー)が交差することです。
攻撃時に自軍のスパイカーが交差することで、相手のブロッカーが対面のプレーヤーをマークしきれなくなるため、相手ブロッカーに困惑が生まれブロックに隙が生じてきます。
※コンビを組むうえで、”スロット”という考え方が大切になります。
早速コンビネーション攻撃を紹介していきます。
センターを生かした時間差攻撃
Aクイックとセミ攻撃(攻撃可能な枚数が3枚の場合)
この攻撃はコンビネーション攻撃の王道で多くのチームで取り入れられている攻撃になります。
内容としては、ミドルブロッカーの選手がAクイックに入り、ライトプレーヤーがセンターセミの攻撃に入る時間差攻撃になります。
相手のブロッカー側の立場を説明すると、ミドルブロッカーが壁となり相手のレフト側の選手がブロックにつきにくい状態になります。
攻撃の狙いとしては、相手ミドルブロッカーの選手を自チームのミドルブロッカーが引き付け、ノーブロックになったセンターからセミ攻撃を仕掛けるというものです。
そのため、ライトプレーヤーの選手がノーブロックで打ち込むためには囮役になるミドルブロッカーの選手の役割がとても重要です。
ライトのプレーヤーもスパイクを打つ際は、ストレートとレフト側またはライト側のクロスと狙えるコースも幅広くなるため、ブロックにつかれたとしてもかわして打ち込むことが可能になります。
コンビネーション図
ポイント
Aクイックとバックセミ攻撃(攻撃が2枚の場合)
この攻撃の内容は、ミドルブロッカーの選手がAクイックに入り、ライトプレーヤーまたはレフトプレーヤーがバックセミの攻撃に入る時間差攻撃になります。
相手のブロッカー側の立場を説明すると、ミドルブロッカーが壁となり相手のライト側の選手がブロックにつきにくい状態になります。
攻撃の狙いとしては、ミドルブロッカーの選手が相手ブロックを引きつけ、レフト側の選手がノーブロックになったセンターラインから攻撃を仕掛けるというものです。
スパイクを打ち込む選手は、レフト攻撃を打つと見せかけるような助走のフェイントを入れてからセンターセミに入る工夫をすると効果的ですよ。
コンビネーション図
ポイント
Bクイックとセミ攻撃(攻撃枚数が2枚 or 3枚の場合)
この攻撃の内容としては、ミドルブロッカーの選手がBクイックに入りレフトプレーヤーの選手がセミの攻撃に入る時間差攻撃になります。
攻撃の狙いは、相手のミドルブロッカーを囮役の選手が引き付けた上で、レフト側の選手がノーブロックのセンターラインから攻撃を仕掛けるというものです。
スパイクを打ち込む選手はレフトの位置からスパイクを打ち込むときと同じような助走の入りかたをすると、より相手ブロックを欺き効果的なスパイクを打ち込めますよ。
コンビネーション図
ポイント
Cクイックとセミトス
この攻撃の内容としては、ミドルブロッカーの選手がCクイックに入りライトプレーヤーの選手がセミ攻撃に入る時間差攻撃になります
攻撃の狙いは、相手のミドルブロッカーを囮役の選手が引き付けた上で、ライト側の選手がノーブロックのセンターラインから攻撃を仕掛けるというものです。
ライトプレーヤーの選手は、ライトの位置から攻撃に入るようなフェイント又は助走を取ることで相手ブロッカーを欺き効果的なスパイクを打ち込めますよ
コンビネーション図
ポイント
Dクイックとバックセミ
この攻撃の内容としては、ミドルブロッカーの選手がDクイックに入りライトプレーヤーがバックセミの攻撃に入る時間差攻撃になります
攻撃の狙いは、相手のミドルブロッカーを囮役の選手が引き付けた上で、ライト側の選手がノーブロックのセンターラインから攻撃を仕掛けるというものです。
ライトプレーヤーの選手は、ライト攻撃に入るようなフェイントまたは助走を取ると相手ブロッカーを困惑させることができ、効果的な攻撃を仕掛けられます
コンビネーション図
ポイント
センターラインからのコンビネーション攻撃の肝になるのは味方のミドルブロッカーになります。
囮役の選手がどれくらい相手のミドルブロッカーを引き付けられるかで決定率が大きく変わってきますので、声を出すなど相手の注目を引くようなプレーを混ぜていくとより効果的になります。
サイド攻撃を活かすためのコンビネーション
Bクイック&レフト平行orダブル
この攻撃はミドルブロッカーがBクイックに入り、レフトのプレーヤーがダブル(Bセミ)の位置から攻撃するという時間差攻撃になります。
相手のブロッカー側の立場を説明すると、ミドルブロッカーが壁となり相手のライト側の選手はスパイカーの正面へのブロックにつきにくい状態になります。
この攻撃の狙いとしては、相手のライト側のブロッカーのブロックの対応を遅らせる事と、相手のミドルブロッカーが自軍のクイックに釣られたところを、ブロックの上からスパイクを打ちこむことです。
ポイントとしては、レフトプレーヤーがレフト平行に入るフェイントを入れることやセッターのトスをBクイックに近い軌道であげることで相手のミドルブロッカーを欺くことができます。
コンビネーション図
ポイント
Dクイックとライト平行
この攻撃はミドルブロッカーがDクイックに入り、ライトプレーヤーがライト平行の位置から攻撃するという時間差攻撃になります。
この攻撃は味方のスパイカーが交差する動作が無いため、攻撃の早さが肝になってきます。
この攻撃の狙いとしては、相手のミドルブロッカーとレフトブロッカーを引き付けて、ライト側のブロック枚数を減らした状態で攻撃することです。
相手のレフト側のブロッカーを味方のミドルブロッカーが引き付けた上で、味方のライトのプレーヤーがノーブロック又は1枚ブロックでスパイクを打ち込むことが理想の形になります。
セッターの人はDクイックに上げるように見せるために、Dクイックに近い軌道でライト平行にトスアップを行い、ライトプレーヤーはファーストテンポでのスパイクを打ち込むように意識しましょう。
コンビネーション図
ポイント
バックアタックを絡めたコンビネーション
Aクイックとスロット5のバックアタック
この攻撃はミドルブロッカーがAクイックに入り、味方のバックセンターの選手がスロット5の位置からバックアタックを打つ時間差攻撃になります。
相手のブロッカー側の立場を説明すると、真ん中への攻撃はミドルブロッカーのみでの対応となるためミドルブロッカーに迷いが生じるため、対応が遅れがちになります。
この攻撃の狙いは、相手のミドルブロッカーを味方のミドルブロッカーが引き付け、空いたセンター(スロット5)の位置からノーブロックでスパイクを打ち込むことです。
この攻撃で大切なポイントは、ミドルブロッカーが相手ブロッカーを引き付ける事と味方の両サイドのプレーヤーがコート幅をしっかりと使った攻撃位置に入り、相手のブロッカーをサイドに引き付けられるかです 。
セッターの選手は、相手のブロックをしっかりと両サイドに動かせるような攻撃の組み立てが重要になってきます。
コンビネーション図
Aクイックとスロット7のバックアタック
この攻撃はミドルブロッカーがAクイックに入り、味方のバックセンターの選手がスロット7の位置からバックアタックを打つ時間差攻撃になります。
この攻撃の狙いも、相手のミドルブロッカーを味方のミドルブロッカーが引き付け、空いたセンター(スロット7)の位置からノーブロックでスパイクを打ち込むことです。
この攻撃で大切なポイントは、ミドルブロッカーが相手ブロッカーを引き付ける事と味方の両サイドのプレーヤーがコート幅をしっかりと使った攻撃位置に入り、相手のブロッカーをサイドに引き付けられるかです。
コンビネーション図
以上になります。
多くの場合は、セッターのトスアップが重要になりますが、その他にも実際にスパイクを打つ選手だけでなく、囮の選手も気持ちを込めた打つ姿勢がとても大切になってきます。
コンビネーション攻撃を始めるにあたり、初めはしっかりとポジショニングの確認を行い、慣れてきたらスパイカーはフェイントを入れるなど工夫をしていく事で相手のブロックがついてこれないようなコンビネーション攻撃に繋がっていきます。
まとめ
今回は、コンビネーション攻撃について紹介させて頂きました。
レベルが高くなってくるほどクイックや平行トスだけでは攻撃が通じなくなってくるため、攻撃のバリエーションが必要になってきます。
新しく攻撃を導入していくうえで、攻撃の狙いを理解していないと形だけの複雑な攻撃となり得られるメリットは減ってしまいますので目的をしっかりと理解しておきましょう。
コンビネーション攻撃も通常のクイックや平行での攻撃があってこそ効果的になってくるため、シンプルな攻撃との使い分けが大切です。
コンビネーション攻撃は決まるとチーム自体も盛り上がってきます。
是非ここぞというときに使えるように、取り入れて練習してみて下さい。
以上になります。
この記事を読んで何か抱えている問題や課題解決きっかけとなれば嬉しいです!
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